1.LEDとは…
LEDとは発光ダイオード(Light Emitting Diode)の略したもので電気を流すと発光する半導体の一種です。
LEDは消費電力や発熱性が極端に低く、CO2の排出削減はもちろん圧倒的な長寿命の特徴を持っています。通常の白熱灯や蛍光灯や水銀灯とは大きく違い、LED照明は地球に優しく、ロウソク、電球、蛍光灯に続く、第四代のあかりとして期待されています。
※半導体:金属のように電気を通す「導体」とプラスチックやガラスなどのように電気を通さない「絶縁体」の中間のような性質を持ち、人間が与える条件によって、電気を通したり、通さなかったりするものです。LEDは光を発生する半導体です。
2.LEDの特長
- 長寿命・高信頼性 一度設置すれば電球交換のような保守の手間が省けることになり、部品や器具の購入コストも削減、または不要。
- 小型 設計自由度が高い。
- 危険物ゼロ RoHS(ローズ)指令に適合。水銀・鉛・カドミウムなどの危険物質を排除。
- 衝撃に強い 真空やフィラメントを必要としないため、衝撃に対して比較的強く造れる。また、LEDはガラス管を使用していないので、割れる心配がない為、安心・安全。
- 高速応答性 応答性が高く、スイッチON・OFFで瞬時に明滅する。(倉庫・工場・商業店舗の照明などに最適)
- 省エネ 蛍光灯はおよそ1/2に、白熱灯は1/10、水銀灯は1/4に消費電力の削減。
- 紫外線・赤外線がほぼゼロ 相手側に熱を伝えないし、退色などの劣化が少ない。虫が寄りづらい。
- 発熱が低い 従来照明は、電極 ガスなどで発光の為、熱エネルギーが高くなる。対してLED照明は半導体点灯の為、発熱が低い。
3.LEDの発光原理
LEDチップに順方向の電圧をかけると、P型・N型の正孔と電子が動き出します。移動の途中で電子と正孔がぶつかると結合(P-N接合)し、再結合された状態では、電子と正孔がもともと持っていたエネルギーよりも、小さなエネルギーになり、その時に放出する余分なエネルギーが光として見えているのです。これがLEDの発光原理です。
4.LEDの種類と構造
1)砲弾型LED
リードフレームと一体化形成したカップ内にLEDチップを実装し、カップ内に蛍光体を分散させた樹脂を封入して、その周りを砲弾型にエポキシ樹脂で モールドした構造です。砲弾型LEDの特徴としましては、レンズ効果によりビーム角度を狭くすることで高輝度化(高光度)が可能です。 (ビーム角度10~60度など)
2)表面実装型(SMD)LED
セラミックや樹脂などで成型したパッケージの中にLEDチップを実装し、パッケージに蛍光体を分散させたエポキシやシリコーンなどの樹脂を封入します。 反射板の構造を利用して光を取り出す構造です。また、構造上パッケージ基板のパターン設計により、1パッケージ内にLEDチップを1~4個以上実装して高輝度化が可能です。なお、最近はミディアムLED(30~100mA)の電流を流せる構造のLEDや1チップに100mA~1.5A流せるパワーLEDの開発が進み、光度は日々高い値になっています。
5.白色LEDの発光方式
1)青色発光LED+緑色発光LED+赤色発光LEDの組み合わせた白色LED
3色のLEDチップから放射される光を混合して白色光を作るものです。見た目には白色光が得られても,スペクトルで見たとき放射エネルギーの無い波長域があるので,照明として用いたときに物の色の見え方が不自然になることもあります。一般には,品物を照らす照明ではなく,光を直接見せるディスプレイなどに用いられています。
2)近紫外 紫色発光LED+赤 緑 青発光蛍光体を組み合わせた白色LED
3波長形蛍光ランプと同じ原理であり,青色より波長の短いLED光源を用い,赤 緑 青発光の蛍光体を励起させる方式です。高演色性タイプとなります。
3)青色発光LED+黄色発光蛍光体を組み合わせた白色LED
3方式の中で一番発光効率が高い方式で照明用LEDが最も一般的です。LEDの青色光と、その光で励起される補色の黄色を発光する蛍光体の組み合わせで白色を作りだしています。
6.LEDの寿命
LED照明の場合は、一般蛍光灯照明と同様に光束維持率70%を寿命と定義します。言い換えると、初期照度から照度が70%に下がったときの設計寿命であります。但し、あくまでも設計した照明装置の実測を行い、ジャンクション温度を算出しLEDデーターシートから予測寿命を求めている為、製品保証の寿命ではありません。
7.LEDの光色、明るさのばらつきについて
LEDは複雑な製造工程を経て作られる半導体製品であるため、その過程の様々な要因によって、従来の光源に比べ最終製品の個体間においてやむを得ず光量や波長(発色)等の性能のばらつきが生じます。カタログ及びホームページに記載されている光束値、色温度、照度などの数値は参考値であり、その値を保証するものではありません。目安としてお考えください。
8.よく使われる用語集
全光束【lm】 | ランプが全ての方向に出す光の量。 |
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光度【cd】 | 光の強さ(ある方向の単位立体角内に放射される光の量)。中心光度・最大光度などに用いられる。 |
照度【lx】 | 光を受ける面の明るさ。照明設計の基本となるもので、場所ごと・作業内容ごとに、照度基準としてJIS規格が制定されている。 |
輝度【cd/m2】 | ある方向から見たものの輝きの強さ(単位正射影面積より、ある方向に向かう光の強さ)。照度が単位面積あたりにどれくらい光が到達しているのかを表すのに対し、輝度は光の当たる面がある方向から見たときどれだけ明るく見えるかを表す。 |
器具効率 | 光源を照明器具に入れて点灯したとき、器具外に放射される光束と、その光源単独で点灯したときに放射される全光束との比。 |
配光曲線 | 光源から出ている光が、どの方向にどれだけの強さで出ているかを表したもの。 |
発光効率【lm/W】 | 単位は、ルーメン ワット(lm/W)で表される。ランプの全光束をその消費電力(ランプ電力)で割った値のこと。 1Wの電力を与えた時の光の量のことで、その値が大きいほど省エネとなる。 |
定格消費電力【W】 | 単位は、ワット(W)で表される。ランプの消費電力。ランプやカタログに表示されている。 |
1/2照度角 | 照明用反射がその性能を決める目安となるものです。器具と器具直下を結んだ線と、器具と器具直下水平面照度の1/2の水平面照度となる点を結んだ線がなす角度を表す。 |
ランプ効率【lm/W】 | ランプの全光束を、その消費電力(ランプ電力)で割った数値。すなわち1ワットの電力でどれだけの光束(ルーメン)を発生させることができるかを示す値。 |
色温度【K:ケルビン】 | ランプの光色を数値で表したもの。赤みがかかった光ほど色温度の数値が低く、青みがかかった光ほど高い数値で表される。 |
平均演色評価数【Ra】 | ランプで照明した色彩の再現度(見え方)を数値で表したもの。Ra100が基準光と同じ光で、数値が低くなるほど基準光とのズレが大きくなる。 |
保守率 | 照明施設は光源の光束の低下や器具の汚れ等により、平均照度が設置当初の値より減少する。この減少の程度を設計時点で見込んでおく係数をいう。 その値が0.85未満のものを低力率、0.85以上のものを高力率として日本工業規格で定めている。 |
力率【PF】 | 電圧と電流を単純に掛け合わせたものを皮相電力(apparent power)、負荷で消費される電力を有効電力(active power)と言い、皮相電力に対する有効電力の比率を力率(power factor)と言う。 |
グレア【UGR】 | 見え方の低下や不快感や疲労を生ずる原因となる光のまぶしさをいい、不快感を与えるものを不快グレア、対象物の見え方に悪影響を与えるものを視機能低下グレアという。 |
IPコード | 防水性能と防塵性能の保護等級を示すコード。 |
均斉度 | 照明施設における明るさのムラを数値で表したもの。均斉度はその施設内の[最小照度 平均照度]や[最小照度 最大照度]で表す。 |