PPAとは

PPAとは、「Power Purchase Agreement」の略であり、直訳すると「電力購入契約」となりますが、発電事業者側の視点から「電力販売契約」と訳されることもあります。

 

かつては大手電力会社が発電事業者から電気を購入する卸売り契約として締結されるものが一般的でしたが、最近では企業需要家が直接の買い手となるコーポレートPPAが数多く締結されています。

 

PPAモデル

太陽光発電設備の無償設置というビジネスモデルです。 「オンサイトPPA」、「オフサイトPPA」の2種類があり、オンサイトPPAは需要家の敷地内に発電設備を導入し電力を供給、オフサイトPPAは自社敷地外に発電設備を設置し電力を供給、また大規模発電を導入したいという企業向けのモデルです。 PPAモデルは元々FIT制度のないアメリカで確率され、住宅用太陽光発電の普及を加速させました。

オンサイトPPAとは

需要家施設の屋根や隣接する土地(オンサイト)に、第三者である発電事業者(PPA事業者)が太陽光発電設備等を設置して電力を供給する契約です。 需要家は、使用した消費電力に応じた電気料金を発電事業者へ毎月支払います。 太陽光発電設備の所有権は発電事業者が持つため、需要家は設備導入費用や保守・管理、メンテナンス等は行わず、発電した電力のみを購入し使用出来ます。 需要家の敷地内で電力供給する仕組みなので、電力会社の送配電網は使用せず、託送料がかかりません。そのため日本国内でも十分な経済性が確保でき、導入が進んでいます。

 

オンサイトPPAのしくみ

1PPA契約
電気を使用する企業や自治体(需要家)と発電事業者(PPA事業者)、または第三者事業者間で電力購入契約(PPA)を締結します。
2敷地貸出
需要家は、自社の敷地内(屋根や駐車場、遊休地)をPPA事業者に提供します。
3太陽光発電設備の設置
PPA事業者が需要家から提供された敷地内に太陽光発電システムを設置します。設置費用はPPA事業者が負担するので、需要家には設置費用のコスト負担はありません。
4太陽光発電設備と需要場所を接続する
設置した太陽光発電システムと、需要家が利用したい施設の需要場所を自営線や構内線で接続し、電力供給を行います。
5発電された電力を利用する
需要家は、太陽光発電システムにより発電された電力を「購入」し、利用することが出来ます。電力不足の場合は通常通り一般の電力会社から購入します。
6太陽光発電設備の保守・管理
設置した太陽光発電システムの所有権はPPA事業者にあり建設・運転・保守・管理を行います。よって、需要家には設備の運用リスクやメンテナンスコストなどの負担がありません。
7電気料金の支払い
需要家は使用した電力量に応じてPPA事業者に電気料金を支払います。

 

メリット

初期費用ゼロ

オンサイトPPAの最も大きな特長です。PPA事業者(第三者所有)の太陽光発電設備を設置するため、需要家は導入費用を負担する必要がありません。初期投資なしで太陽光発電システムを利用できるのはとても大きなメリットです。

 

設備の保守・維持管理不要

PPA事業者(第三者所有)が所有権を持つため、設備の保守・点検・修理などはPPA事業者が行います。需要家に特別な専門家や専門知識の有識者が居なくても安心して利用できます。

 

電気料金の削減

一般的な電力会社より安価な単価で電力を購入できます。通常、高圧電力の需要家の電気料金単価は平均約20〜22円/kWhですが、オンサイトPPAの場合は15〜18円/kWhとかなり低減できるうえ、託送料金、再エネ賦課金がかかりません。

 

託送料金とは

一般送配電事業者が設定した電力送電の際に小売電気事業者(各電力会社)が利用する送配電網の 利用料金のこと。

再エネ賦課金とは

再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が買い取る際に発生する費用のことで、従来の一般の電気料金には再エネ賦課金が掛かります。オンサイトPPAでは小売電気事業者(各電力会社)を介していないため、再エネ賦課金が掛かりません。

非常用電源として活用できる

オンサイトPPAでは、企業の敷地内に太陽光発電設備をつくるため、一般の送配電網が自然災害や 電気トラブルなどにより停電した場合でも、電力を利用することが可能です。

 

停電が発生した際に電気を使用する方法は、以下の2つです。

 

・パワコンの自立運転機能を利用する ・蓄電池を導入して平時から蓄電しておく

 

どちらの方法でも停電時の電気の取扱いについては、需要家とPPA事業者間で取り決めが必要です。停電時も事業所を最低限稼働させたい場合は蓄電池の活用を考えるなど、契約する際にPPA事業者側と話し合い、最善策を準備しておきましょう。現代では、地震やテロ攻撃、感染症といった緊急時においても、事業を継続して行えるようにする「BCP対策」が注目されています。特に電力供給は企業の経済活動に欠かせません。そのため、BCP対策の一環として、オンサイトPPAを導入する企業も増えています。

 

補助金制度の活用

国や都道府県などの補助金制度を活用することでさらに電気料金を削減できる可能性があります。

 

例えば、環境省が実施している制度の内容で「オンサイトPPAをはじめとした自家消費型太陽光発電や蓄電池などの導入について必要な経費の一部を補助する」というものがあります。

 

オンサイトPPAの初期費用はPPA事業者が負担するため需要家には関係なさそうにも思えますが、PPA事業者側の設備投資費用を削減することで、電気料金の値下げに繋がるため需要家にとってもメリットのある補助金制度となります。

 

企業好感度が上がる

CO₂削減、脱炭素社会への取組み、環境保護…現在世界規模の課題となっている地球温暖化などの環境問題について、再生可能エネルギーを導入し、RE100参加企業とアピールすることで、環境問題に取組む企業として好感度を上げることができます。

 

太陽光発電はCO₂を発生させない発電方法で、一例として最も削減量の多い「製造業(生産工場)」では、太陽光発電を導入後、1,166,166kg分(ひとつの大きな住宅街約483世帯分)の排出量を削減できることが分かりました。

 

RE100とは

「Renewable Energy 100%」の略であり、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする、国際的イニシアチブ(積極的な取組の枠組み)です。

オフバランス化が可能

オフバランス化とは、事業運営に活用している資産・負債でありながらも、貸借対照表(バランス シート)に計上されないことです。

 

オンサイトPPAにおける太陽光発電設備の所有者はPPA事業者のため需要家の資産にはあたらず、資産計上されないため経理・会計処理の手間も増えません。発電設備の取得による減価償却などの経理業務もなく、財務にも影響しない点がオンサイトPPAモデルで太陽光発電を導入するメリットといえます。

 

ただし、オフバランス化が会計基準に適合するかどうかは監査法人の判断によるため、十分な調査や協議が必要です。オフバランス化が可能なシステムであれば、資産規模を圧縮するとともに、経

理上・税務の手続きにかかる手間を軽減できます。

 

契約期間満了後は無償譲渡

契約期間が満了した後、太陽光発電設備はPPA事業者から需要家へ無償譲渡されるのが一般的です。無償譲渡後は需要家が発電設備の維持管理や運営、保守を自社で継続して行うか、PPA事業者と再契約するか、新たな事業者と契約を結ぶか選択できます。

 

無償譲渡を選択した場合、PPA事業者への電気代支払は不要になり、維持管理費は自己負担になるものの、発電した電気は無料で使用でき、再エネ由来の電力を使い続けられる点がメリットです。電気料金変動のリスクを軽減しつつ、長期的なコスト削減も実現できると言えます。

 

デメリット・注意点

長期契約

契約内容により期間の幅はありますが、一般的に15〜20年程度の契約期間となり、契約期間中は需要家都合による変更や解約、処分は違約金が発生するなどの場合があります。将来的に発電設備を導入する場所の建替えや移転、改装等の可能性がある場合は注意が必要です。

 

設置場所に制約がある

設置場所の大きさ、日照条件、強風や塩害の被害を受けやすい、建物の強度(耐荷重)が満たないなど、PPA事業者から提示された契約条件が揃っていない場合は契約ができないことがあります。

 

設置場所は需要家の事務所や工場、倉庫などの屋根上や、自社敷地内の空き地が一般的となっており、太陽光発電設備を設置する場所により、発電量も変わります。電気使用量や発電設備を設置できる広さによっては、充分な発電量を確保できないこともあります。

 

万が一、オンサイトPPAで自社の施設に太陽光発電システムの導入が難しいと判断された場合は、

オフサイトPPAを導入する方法もあります。

 

経済効果が少ない

太陽光発電設備の自社所有モデルより、経済効果が少ない可能性があります。オンサイトPPAでは、発電設備の初期投資費用はかかりませんが月々の電気料金がかかります。自社所有モデルでは、発電設備を自社で購入・設置しますが、月々の電気料金はかかりません。

 

長期的に見ると月々の電気料金がかからない自社所有モデルの経済効果が大きくなる可能性が高いですが、設備の設置費用や定期的なメンテナンスコストがかかります。どちらのモデルが自社に合った導入方法なのか、慎重に検討する必要があります。

 

余剰電力を売電できない

オンサイトPPAでは、需要家が需要場所で発電電力を消費(自家消費)することが基本となります。また発電設備の所有権もPPA事業者が保有しているため、需要家が余った電力を販売することはできません。電力が余った場合はPPA事業者が売電を行います。

 

譲渡後は保守・管理が必要

契約満了後に無償譲渡を選択した場合、以降のメンテナンスや修繕、管理は全て需要家が行います。太陽光発電設備の所有権がPPA事業者から需要家になるため、設備に掛かる全ての費用を負担することになりますが、代わりに、発電した電力は無料で使用可能、売電することができます。

 

事前審査

オンサイトPPAの契約期間は15〜20年と長期に渡ります。そのため、導入前にPPA事業者から設置場所の条件確認や需要家の与信調査をされることもありま す。長期に渡る契約だからこそ、財務健全性や倒産リスク、契約期間中の事業継続性が入念に評価され、現在の電力契約や使用状況、敷地の適合性も重要視されます。

 

オンサイトPPA導入の前に…

敷地面積

敷地面積が広いほど設備の数が増え、発電量を増やすことができます。 1kWh=約8㎡の広さが必要と言われていますので、どの程度の設備で必要な電力量が賄えるのかを予め検討する必要があります。

立地条件

敷地面積が十分に確保出来ても、下記要件等で導入が難しい場合もあります。

・建物の向きや方角

・日照条件

・強風や塩害、積雪などの気象条件

耐荷重、強度

建物の屋根等を利用する場合、屋根の形状、強度、耐荷重が発電設備の重量に耐えられないと判断した場合は導入できません。 ※構造計算が必須となります。 別途、強度を補うための補強工事が必要です。

電力使用量

1拠点あたりの使用電力が1kW未満の小規模な事業所ではPPA契約が難しい場合があります。 多くのPPA契約では「1拠点あたりの最低契約容量が1〜5MW」、また年間50MW以上の電力使用など規制がある可能性があります。

PPA事業者が太陽光発電設備を導入するにあたり、設置場所条件などにいくつかの制約があります。あくまでも一例のため、PPA事業者により条件内容は異なります。

 

導入の流れ

STEP01

初回相談・調査(電力使用量データ・与信データ)

期間目安:1〜2週間

屋根置きや野立て、カーポート等、設置場所の日照条件や構造強度を確認します。

STEP02

設計・お見積り

期間目安:2〜4週間

太陽光発電設備の設計と電気料金の御見積を作成いたします。

STEP03

契約締結

期間目安:1〜2週間

PPA契約を締結し、契約内容や条件を確認します。

STEP04

工事・設置

期間目安:1〜3ヶ月

太陽光発電設備の設置工事を実施します。

STEP05

運転開始

契約期間:15〜20年

設備の稼働を開始し、発電電力の利用を開始します。

ご準備いただく資料・情報

必要な資料・情報 屋根置き 野立て カーポート
1

敷地平面図

(設置場所の寸法が分かる資料)

2 建物の平面図・立面図
3 屋根伏図 × ×
4

屋根材の資料

(仕上げ表等)

× ×
5 構造計算書 × ×
6

ボーリングデータ

(地盤調査)

×
7 設置場所の障害物の有無
8 単線結線図
9

客先要求仕様

(メーカー希望等)

10

直近1年分の電気料金請求書

11

直近年分の30分デマンドデータ

導入事例・効果

A社製造工場の事例

業種:製造業(電子部品)

設置場所:工場屋上

設備容量:500kW

契約期間:20年

導入目的:電気料金削減、CO₂排出量削減RE100対応

導入のポイント

  • 初期費用なしで再エネ導入を実現
  • 年間約10%の電気料金の削減効果
  • 年間約200トンのCO₂排出量を削減
  • RE100への取組をアピールし企業価値向上
  • 補助金活用により電気料金をさらに削減